プロダクトを共創するProductOperationの取り組み

この記事は、トラストバンク Advent Calendar 2023 25日目の記事となります。

こんにちは。11月にトラストバンクにJOINした @feat2kjです。

Advent Calendar 2023. 最終日は現在取り組みを進めているプロダクト開発を効率的に行うためのProductOperationについて書いていこうと思います。

ProductOperationの概念については 【プロダクトマネジメント】 で知りました。当初は重要性を認識できていませんでしたが、チーム構成・運用プロセスを整理していると有効な概念だと思うようになり取り組むようにしました。 【Product-led Growth】 ではプロダクトOpsと定義されています。

ProductOperationとは

ProductOperationに関する記事はいろいろありますが、pendoでの定義がわかりやすかったので引用させていただきます。

プロダクトオペレーションを設立する主な理由は、プロダクトマネージャーからオペレーション(そして時間のかかる)タスクを取り除き、顧客を喜ばせるプロダクト作りに集中できるようにすることです。これにより、コミュニケーションと効率も向上します。これは、プロダクトオペレーションが、全社のチームにプロダクトの専門知識を提供するリソースとして機能するためです。 jp.pendo.io

ScrumにおけるScrumマスターの役割が少し似ているかもしれませんね。

ProductOperationの役割

オペレーションを担って効率化を行うという観点から担当する範囲はとても幅広くなります。 また企業によって定義されている役割・ニュアンスが微妙に異なるところもあるので、自分なりにまとめてみました。

  • 情報の可視化

    • プロダクト戦略・意思決定に必要なデータにアクセスできるような基盤整備
    • ビジネス、カスタマーサクセス、カスタマーサポート、PdM、エンジニアが必要なタイミングで情報を知る事ができる仕組構築
    • 戦略上必要なレポート管理
  • ケイデンスとコミュニケーション

    • プロダクト開発・運用におけるコミュニケーションパスの整備 (関係者の把握)
    • アウトカムに対する進捗の定期的な確認(意識づけ)
    • 会議体の整備
    • 各関係者から上がってくる運営に関するフィードバック管理 (※初めはここが重要)
  • プロダクト開発の効率化

    • プロダクトフローを分析し、効率的に動けるように計測・改善を行う
    • プロダクト開発・運営におけるトイルの撲滅
    • 効果的な運用ツール (issue管理) の提案・運用
    • 開発プロセスに関するコーチン
  • プロダクト運用・品質向上

    • 品質・運用など主語でかい問題の整理
    • プロダクト状態を定期的にチェックできる仕組み作り
    • ドキュメン管理の方針策定

ProductOperationの必要性

実はProductOperation(それに該当するもの) に似たことは自然と組織内で対応できている場合が多いです、そのため必要性をそこまで感じにくいかもしれません。自分もそうでした。その場合は以下の内容に心当たりがないかを振り返ってみて下さい。

  • 運営に関する課題が有志の活動によって解決されている
  • Mgrに課題がフィードバックされ、解決ができている
  • PdMが必要性を感じて対応している

課題として解決されていればわざわざ [運用チームを作る] という考えに至らないかもしれません。もう一歩深く考えてみましょう。

運用関係を引き取ってくれている人は自分のミッションに集中しきれているか

個人に頼ってしまっている運用を、[冗長化できていない] という問題として対応してしまうことが多いですが、リソースの話などに発展してしまいそうなので、ここではパフォーマンスにフォーカスしたいと思います。

有志による活動

有志の活動は組織としてとても貴重です。何か新しい事、改善したいと思った時に、次の成長に繋げる原動力になってくれる事が多いからです。ただモチベーションに甘えて運用・管理などを任せてしまい知らない間に個人に責務を負わせてしまう事も少なくないと思います。個人のモチベーションでの活動が業務化してしまいモチベーションの低下・本質的な自分の役割(エンジニアであれば開発に割く時間)に向き合えなくなるリスクは、組織としては致命的なパワーダウンです。

Mgrによる課題解決

このパターンは非常に多いかなと思います。部署横断でいろいろな判断ができるという役割上、適任のように見えます。課題点としては、このポジションの人は方針の策定・判断をする立場であり細かい作業を行う時間がないという事です。課題全体把握・優先度をつける事はできるかもしれませんが、分析やツールの検証などをしている時間はありません。その影響で全体判断が遅れたり、課題リストが積み上がり消化されない状態になる事があります。細かい作業より組織全体に関する判断などに時間を使ってもらった方が良いです。

PdMが対応している

PdM(ProductManager)の責務多い問題については、 The Product Management Triangle – Product Logic など、多くの書籍や記事により解像度が上がっているように思えます。それだけ重要な役割ということがわかります。

Figure 3. Examples of the roles that fill each region of white space.

ProductManagerの責務について整理した中にもオペレーションに対する事項はありますが、あくまでも基盤を使ってオペレーションを行うというように理解できます。PdMはデータ分析基盤・開発フローの整備など内面よりも、それを利用してプロダクトに向き合う作業・時間を増やすようにするべきです。

ProductOperationチームのValue

ProductOperation がいろいろルールを整備して、運用していく監視役のようなイメージを持ってしまうかもしれません。実際に運用を始めた際に、[このツール使いましょう][こういうふうにやりましょう]というコミュニケーションをプロダクトチームと取ることが増えてきます。そのため、Operationチームのスタンスをしっかり明示しておくことが大事です。

ルール通りに運用してもらう視点になり、アウトプット思考にならないこと!

アウトカム思考の運営

運用策定したものが上手く回っていない時にコーチングをかけにいくより、何故上手く行かないのか?を分析・ヒアリングしましょう。運営チームはサポートを通して、プロダクト価値をユーザーに届けることがMissionとなります。コーチングだけに固執すると適切な運用方法でないものを守ってもらう行動をとってしまい本来の目的から大きく外れてしまいます。また悪い運用から逃れるため、各チーム・部署で余計なハックが始まり全体でバラバラな運用が行われてしまい状態が悪化する可能性すらあります。運用状態がbadな時にアウトプット思考のルートでなく、アウトカム思考のルートに進んでいきましょう。運用は整備して終わりでなく、常に計測・改善を意識するマインドを持ちましょう。この辺はプロダクト開発と同じ思考になると思います。

ProductOperationが必要なタイミング

どのタイミングでOperationチームが必要かどうかは、組織の規模・状況により異なると思います。プロダクト開発・運用を行う上で運用チームが必要かという観点で判断する必要があります。自分も問題を整理した上で重要性に気づいたこともあるので導入基準は明確にはわかっていません。ただ関係者が本来のミッションに向き合えていない兆候が多くなったと思ったら検討を始めてみるのはアリだと思います。

ProductOperationのインストール

本記事を読んでいただいてProductOperationの必要性を感じてもらえたのであれば、ぜひ導入を検討してみてください。導入についてはこちらの記事がステップ毎に整理されているので、とても参考になります。 https://productzine.jp/article/detail/715?p=3

自分もまだまだ手探り状態ですが、導入時に意識していくことをまとめてみます。

チームとして定義する
  • 仮に1人だとしてもチームの枠組みで始めることで役割を明確にする
  • Mission・目標を他チームと同じように設定できる
  • 個人活動で開始すると 個人目標になりがち。チームにすると他のチームと同様の扱いとなり、組織的にサポートしやすい
  • 他のチームに対して相談窓口を明確にできる
    • ⚪︎⚪︎さんに相談するではなく、Operationチームに相談という状態を作る。担当が変更・チームが拡張された場合でも窓口の名称は変わらない
課題の整理から始める
  • 課題リストを整理する
    • 現状上がっている課題を整理する。フィードバックを受けるつつ優先度を決める
情報の可視化
  • 課題解決するためにわかっていない情報を可視化する
  • 例えば開発効率が悪いと言われても、どの箇所がどれくらい悪いのかは定性的になりがち
取り組みやすい課題から進める
  • 本質とはずれてしまいますが、運用改善効果を他チームに実感してもらい信頼を得るために結果を素早く出す
  • 実施する側も手探りな状態が出てくると思うので、なるべく取り組むやすい課題解決を行い振り返りながらOperation方法を改善していく
相談しやすい状態を作る
  • どこ宛に課題を起票すれば良いかを関係者に伝える

プロダクトを共創する組織へ

ProductOperationの導入により、各チームのケイパビリティを最大限生かし、全員でプロダクトを共創する(共に創っていく) 状態ができるようにサポートしていきたいと思います。 ※ユーザーフィードバックはプロダクトに多くの気づきを与えてくれるため、図の中にあえて表現しました。

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